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個人再生の弁済開始はいつ?

2012.05.01

個人再生を行った場合、再生計画で決まった金額を、
「再生計画認可決定確定日の属する月の翌月」から支払っていくことになります。
この認可決定が確定するのは、官報公告がされてから2週間が経過した時点です。
認可決定がされてから官報に掲載されるまで、通常2,3週間ほどかかるので、
認可決定がされてから約1ヶ月後に確定することになります。
そして、この確定日の次の月から支払いを開始することになります。

月の半ば、たとえば5月15日に認可決定がなされて、6月12日に認可決定が確定するような場合は、
その翌月の7月から支払いを開始する、ということなのですが、
この「確定日」が月末にかかるような場合は、その翌月から支払いを開始することになるので
注意が必要です。

3月2日(金)に認可決定がされた事案がありました。
そして、この旨の官報公告が3月16日(金)になされました。
とすると、官報公告がされて2週間の経過で確定するということは、確定日はいつ?と考えて
疑問が生じました。
というのは、週で期間を定めたときは、初日不算入といって期間の初日は算入しないので、
3月17日(土)から期間の計算を開始することになるのですが、
期間の末日が土曜日だと、その次の月曜日に期間が満了することになるので(民訴95)、
3月31日(土)の次の月曜日の4月2日に確定するのか?とすると、
支払いの開始は5月から・・・?それとも3月31日で確定して、支払いの開始は4月から・・・?と、
ふと思いました。

結局、3月17日(土)から計算を開始して、2週間の3月30日(金)の経過をもって確定するので、
期間の末日は平日なので満了日の延期はなし、
30日の経過をもって、ということなので、翌日の3月31日(土)に確定、ということでした。
したがって、確定日が3月31日なので、支払い開始は4月から、ということになりました。


残業代の計算方法

2011.07.06

適正な賃金の支払いについて、改善されている企業も多いようですが、一方で、サービス残業を強いられている、という話もよく聞きます。今回は、時間外労働の計算方法について見てみたいと思います。

法律で、「使用者は、労働者を、1日8時間を超えて、また1週間について40時間を超えて、労働させてはならない」とされています。 この、法律で定められた1週間や1日の最長労働時間を法定労働時間といいます。

法定労働時間を超える労働を時間外労働といい、これについては、25%以上の割増賃金を支払わなければなりません。

例えば、1日の所定労働時間が8時間の場合、2時間残業して、合計10時間労働したのであれば、2時間について時間外労働にあたり、割増賃金を支払う必要があります。これに対して、1日の所定労働時間が7時間の場合、2時間残業して、合計9時間労働したとすると、法定労働時間である8時間までの1時間については時間外労働にはあたりませんが(「法内残業」といいます)、8時間を超えて9時間までの1時間について、時間外労働にあたり、割増賃金を支払う必要があります。

また、休日労働については、35%以上の割増賃金を支払わなければなりません。そして、午後10時から午前5時までの深夜労働については、25%以上の割増賃金を支払わなければなりません。残業(時間外労働)が深夜に及んだ場合は、25%と25%をあわせて、50%以上の割増賃金が必要となります。同様に、休日労働と深夜労働が重なった場合は、35%と25%をあわせて、60%以上の割増賃金が必要となります。

また、平成22年4月1日から施行された改正労働基準法では、1ヶ月あたり60時間を超える時間外労働について、割増賃金率が50%以上に引き上げられました。この割増賃金率の引き上げについては、中小企業は、当分の間、適用を猶予されます。

 

4月1日生まれの人はなぜ早生まれなのか

2011.05.31

学校の学年などで、同級生になるのは、4月2日生まれから次の年の4月1日生まれまでの人、というように、
4月1日生まれの人は「早生まれ」とされています。
4月1日に生まれた人は、4月2日以降に生まれた人よりも前の学年になるのですが、
なぜ区切りのいい3月31日ではなく、4月1日生まれの人までが早生まれなのでしょうか。

年齢は、「年齢計算ニ関スル法律」という法律にもとづいて計算されます。
「年齢計算ニ関スル法律」では、「年齢ハ出生ノ日ヨリ之ヲ起算ス」とされています。
これによると、例えば、4月1日の午後11時に生まれたとしても、
4月1日を1日目として年齢を計算することになります。
この、最初の日も計算に入れる計算の方法は、「初日算入」といいます。
これに対して、民法などでは、最初の日は計算に入れない「初日不算入」を原則としています。
これについては、民法140条で「日、週、月、又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。
ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。」とされています。

例えば、4月1日に、「1ヶ月間借りる」という約束で本を借りた場合、初日である4月1日は算入せず、4月2日から計算を始めることになります。
そして、民法143条1項で「週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。」、
第2項で「週、月又は年の始めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月、又は年においてその起算日に応答する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応答する日がないときは、その月の末日に満了する。」とされていますので、
「起算日に応答する日の前日」、つまり起算日である4月2日に応答する5月2日の前日である5月1日に、期間が満了することになります。
つまり、5月1日まで本を借りられることになります。
これに対して、年齢の計算においては、初日を算入して起算することになるのです。

学年の話に戻りますが、「学校教育法」第17条では、「保護者は、子の満六歳に達した日の翌日以後における最初の学年の始めから、満十二歳に達した日の属する学年の終わりまで、これを小学校又は特別支援学校の小学部に就学させる義務を負う。」とされています。
小学校の学年は4月1日に始まりますから、つまり、子供が「満6歳に達した日の翌日以後における最初の4月1日」から、小学校に入学することになります。

では、満6歳になるのがいつかというと、上記のとおり、初日を算入して、生まれた日から起算します。
そして、「年齢計算ニ関スル法律」においては、上記の民法143条の規定を準用する、とされていますので、
「起算日に応答する日の前日」に満了することになります。

例えば、平成16年4月1日生まれの人は、生まれた時間を問わず、平成16年4月1日から起算して、
「起算日に応答する日の前日」、つまり起算日である平成16年4月1日に応答する平成22年4月1日の前日である、平成22年3月31日の終了(午後12時限り)をもって、満6歳となります。
とすると、満6歳に達したのが平成22年3月31日となりますので、その「翌日以後における最初の4月1日」である、平成22年4月1日から小学校に入学することになるのです。
これに対して、平成16年4月2日生まれの人は、平成22年4月1日に満6歳になったことになりますので、その「翌日以後における最初の4月1日」である、平成23年4月1日から小学校に入学することになります。

なお、日本国民で満20歳以上の人は選挙権を有するとされていますが、20歳の誕生日の前日に選挙がある場合も、選挙権が認められる取扱いになっています。
これについては、裁判で争われたこともありますが、大阪高等裁判所昭和54年11月22日の判決は、「公職選挙法10条2項において、年令は選挙の『期日』により算定すると規定されており、・・・『満20年以上』というのは・・・満20年に達する日が終了したことを要せず、満20年に達する日を含む」と解すべき、としています。
例えば、平成22年9月15日で20歳の誕生日を迎える人(平成2年9月15日生まれ)の場合、満20歳に達する平成22年9月14日の午後12時を含む、9月14日の午前0時以降の全部が選挙権取得の日にあたるのです。

一方、婚姻届などの戸籍の届出については、誕生日から届出ができる取扱いになっています。
例えば、民法731条で「男は、18歳に、女は、16歳にならなければ、婚姻をすることができない。」とされていますが、誕生日の前日が経過してはじめて年齢が加算されるという考えから、男性の場合、18歳の誕生日を迎えないと、婚姻の届出は受理されません。
また、飲酒や喫煙についても、未成年者飲酒禁止法、未成年者喫煙禁止法において、「満20年ニ至ラサル者」が飲酒又は喫煙することが禁じられていますが、20歳の誕生日の前日が終了するまでは未成年者であると解されますので、20歳の誕生日の前日は飲酒、喫煙はできません

登記事項証明書の交付手数料について

2011.05.06

登記事項証明書の交付を請求した場合に必要な手数料は、これまで1通1,000円でしたが、
平成23年4月1日から、1通700円となりました。
また、これまでは登記印紙という印紙で手数料を納めていましたが、
登記印紙ではなく、収入印紙で納めることとなりました
(注:お手元にある登記印紙は、今後も使用できます)。

登記印紙は、購入できる場所が限られている上に、
余った場合に他に使用できる場面もなかったため、使い勝手がもう一つ、というイメージでしたが、
収入印紙に替わったことで、利用しやすくなるかと思います。
手数料が引き下げられたことも、ありがたいです。

登記事項証明書は、一般的には登記事項証明書交付申請書という用紙に記載して提出し、請求するのですが、
オンライン申請を利用すれば、自宅やオフィスで申請できます。
これは便利かも、と思いながら、オンライン申請を利用するまでの手続が面倒で、まだ利用していません。
また、法務局に証明書発行請求機という機械があり、この端末から請求する場合、
交付申請書に記載する必要はありません。
先日初めて証明書発行請求機を利用しましたが、画面をタッチしてスムーズに申請できたので、
交付申請書を記載するのが面倒、という方にはいいかもしれません。

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